2023/11/11 10:00


○嫉妬の対象

I: 若さに対しての嫉妬ってありますか?

男性一同: ない、ない。全くない。

栗: それって女性特有じゃないのかな。

I: 私も無いんですよ。

F: でも一般的にはありますよね。お友だちとかには。

T: 私はまだ、無いですね。

I: 一般的には若い子がもてはやされたりするんでしょうけど、私の周りはないですね。

栗: それって組織的なこともあるんじゃないのかな。大企業と公的な仕事の組織の違いみたいな。

お局様的な社員と新入社員の話しが一般に広まってるからとか。

I: うちなんかは全くなくて。かえって若い子が来ると皆がウェルカムな感じですよ。

あ、かわいい、みたいな感じで迎え入れるような、良い風潮ですね。

栗: 男って無いよね、若い方が良いとかは。

U: 探せばあるんでしょうけど…。僕らの新卒時代から数年はまだ、転職が当たり前ではなかったから、

若い頃に動き出せば良かった、みたいなことはあるかもしれないですね。

今は流動的な時代だから、今、20代で生きられることは羨ましかったりしますね。

F: 自分のところの社長が言ってましたね。20代はいくらでもやり直しが利くし、

今、この時代にいられることって恵まれているんだよ、みたいなことを。

T: みなさんが転職されてますけど、環境を変えてみた方が良いのかなって思ったりしますね。

F: 新卒の時は横並びで、よーいドン、だから仕方ないですよね。

5年、10年過ぎたらまた変わってきますよね。そういう時間が解決してくれたりもするし。

今、2年目でしたら今が一番、嫉妬みたいなところの際ですよね。それぞれに優劣が出てくる頃ですし。

T: 点で見すぎているのかもしれないですね。

今は現場と編成みたいな、見えると見えないものの差が出てきてますね。

見えている人から見えない人に対してはないんですけど、見えている人に対しては、

社内でも頑張りが見えるので評価されたりするんですけど、

私たちみたいな裏方、編成側は、こっちも頑張っているんだけどな、なんて。

栗: 今、聞いていて思ったけど、成果物が見える人たちは妬まれやすいよね、きっと。

これ、私が作りました、みたいなところは裏方だと表に出てこないからね。

F: そうですね。カタチに見えるものはわかりやすいし、妬まれやすいですね。

T: 私の仕事は数字がひとつの基準なので、社外に営業する時は、こういう視聴率でと指標になっていて、

内容よりも数字が伸びていることが評価されるんですよね。

世の中では輝かしい感じに見えるのかもしれないですけどね。

古いって言葉ひとつでまとめてはいけないと思ってはいるんですけど、

もう少し柔軟に考えれば良いのになって思いますね。

その価値観に対して自分はどうなのかなって思いますね。長く勤め上げる予定ではいるんですけど…。

今の世代の人たちが抜けたら変わっていくのかなって考えたりもしていますね。

I: お二人はそれぞれの会社で活躍されてるじゃないですか。嫉妬されたりしないんですか?

栗: それ、それ、訊いてみたい。

F: 自分はないですね。年齢差がありすぎて。特に20代が多いから、

40代の自分は良くも悪くもそういう対象になっていないかもしれないですね。

栗: 自分の立ち位置、存在感があるからじゃない?Uさんもでしょ。

U: 同年代に比べたら年収が低いほうなので全くないですね。

ただ、自分のペースを守った仕事の仕方に対して、そうでない人たちからは

何かしらあるのかもしれないですけど、そもそも価値観が違いますからね。

ただ、外部からは業界全体の収入面で思われているのかもしれないですね。

栗: 以前、どこかで聞いた話しだけど。ドイツ語には日本語で言う貧しい、

誰かと比べて貧しい、英語で言う poor に相当する言葉がないんだって。

となりの芝生はうちに比べて青くて羨ましいみたいな考え方はしないらしいよ。

U: 個々に確立した価値観を持っているってことですかね。

栗: 歴史的にも大変なことが続いた国だから、なおのことなのかもね。

ドイツ人ではないけど、コンプレックスと嫉妬心の固まりみたいなヒトラーが、

独裁者として政権を掌握して、国民もそれに支配されていたりした時期もあったりね。


○嫉妬を力に変える

F: 嫉妬ってネガティブなことが多いですけど、それは馬力にもなりますよね。

栗: 冒頭でも言ったけど、芸術家や作家なんかは正にそういうことだよね。

T: それがないと前に進むエネルギーが足りないんですね。自分だけ見てるだけではなくて、

前に進めるためにも、あの人が凄いとか、ここが自分に足りていないとか。

自分にも出来るんじゃないかっていうところが何か強烈なモノを生み出す力になるんですかね。

私個人的にも嫉妬をネガティブに考えていなくて、前に一歩進めるために、

エネルギーのひとつとして必要なのかなって考えていますね。

栗: 自分もそう考えるところがあるかな。そのエネルギーの出し方が問題なのかなって。

良い方向に出るか、悪い方向に出るか。それが他者にどんなカタチで影響を及ぼすか、というところ。

ただ、みんなが持っている感情なんだから上手く使おうよ、みたいな感じかな。

I: 嫉妬をエネルギーにって話しですけど。人と比べて、人は人、自分は自分だしって考えちゃって。

エネルギーにならないですね、私は。他人と比べるとどこかで自分に言い訳をしちゃうので。

過去の自分に嫉妬するとか、思い描く自分と比べてみることのほうが力になるのかなって思いますね。

F: 理想と現実、のようなことですよね。

栗: 自分は今、思い描いている60才のカタチがあって、理想としている人もいるんですよ。

ただ、到底及びもしないので、そこに対する嫉妬みたいな感情はあるのかな。

あの人のようになりたい、越えたい、けど、ダメじゃん自分、みたいな。

でも、そこを目指して嫉妬なのかどうかはわからないけれど、それがエネルギーになっている、かな。

今、やっていることに対して、それぞれ目指すところがあって人がいて。

でも、やっぱり足りてないなーって思ったり。ただ、そう思うことが力になっているよね。

U: 結局、比較の話しだから嫉妬とも言えますよね。

目標という話しだと、自分はあらゆるところで目標がなくて。

そういう意味での嫉妬はないかもしれないですね。

誰それみたいになりたいとか、あまり考えたことはないですし。

業界的にもそうかもしれないですね。巨人みたいな人がたちはいて、そこを目指すかどうかですよね。

若い頃は考えたこともありましたけど、起業したり、サービスを作ったり、その段取りとかを考えたり、

そんなことが面倒だなとか、博打じゃんっていう感じもしたので、考えることはなくなっていきましたね。

それからは、自分の目指すところとか、60才の自分の何かとか考えないようになったかもしれないですね。

役員になりたいとかもないし。社会の中での自分の立ち位置やゆとりがあれば良いかなって。

だから今は、ハングリー精神みたいなことや嫉妬を力に変えるっていうことはないですね。

Fさんは何かしらありそうですよね。

F: ボンヤリとありますね。

栗: 何かそんな感じも時代なのかもしれないよね。働き方はもちろん、生き方も変わってきているし。

U: 収入面でも生活面でも大概は裕福というか、ゆとりがあるような世の中ですからね。

栗: 表層的な、見えるところだけがそう見える世の中だけどね。


○嫉妬という感情との向き合い方

I: 実は私たち、世代も大学も違うんですけど、人間科学部出身なんですよ。

だから会話をしていても感覚的に合うところや、思考が共通しているなって思うところもありますね。

良くない感情が出てきた時に客観的に分析して、うまく考えたり、コントロールしたりするんですけど、

今日もやっぱり話しを聞いていて同じことをしているなって思いましたね。

栗: 学問として学んできたから、理解出来たり、コントロールをしたり出来るんだね。

I: 嫉妬の感情には原因があって、その原因を究明していくんですよ。

T: 人間って面白いなって思いますよね。自分の学部の人たちにもいろんな人がいて、

脳波を研究していたり、文学を研究材料にひたすらそれに取り組んでいたり、

そんな人たちがいる中でしたから、まず人は違うからっていう前提がある環境の中で、

自分の思考が柔軟になれていたのかもしれないですね。

I: 今日 Tさんを誘ったのも、こういう風に楽しんでもらえる気がしたからですね。


F: 話しは変わりますけど、きょうだいに嫉妬ってありますか?

T: 私は野球を本気でやっていた弟がいて、父もしていたので、その応援の熱の入れ方の違いに、

弟が羨ましいというか嫉妬していましたね。私も運動部で大会とかに来てはくれるんですけどね。

U: 僕はきょうだいはいませんけど、親戚の家でいとことの違い、持ち物とか部屋とか、

そういうことに嫉妬というか羨ましいと思うことはありましたね。

子供の頃にもうパソコンを持っていたりとか、母と叔母さんの料理の違いとか。

I: 私もきょうだいはいませんけど、いる人に対して羨ましいと思ってはいましたね。

親に何できょうだいがいないのって問いただしてみたり。

その父と母は全く性格が違って、父は無口、母は言いたいことをはっきり言うタイプで。

私はどちらかというと父に似ていて、言いたいことは我慢しちゃうところがあったり。

母に対してこういう風に生きられたら良いなみたいに思っていたことがありましたね。

嫉妬ではないですけど、身体のパーツや髪質もそうでしたね。

きょうだいはいないけど、両親に対して自分と比べてみることはありましたね。

U: そういう Fさんはあったんですか?

F: 自分の場合は、兄が父、自分が母で。今、自分が欲しいと思うところが、父にあって兄にもあって。

自分にないことに、何でかなって思ったりしますね。きょうだいの違いがすごくわかるんですよね。

もちろん、嫉妬ということではないですけど。

栗: 自分は親きょうだいに何かみたいなことはないかな。

子供にとってみたら家がはじめての社会生活で、そこから親戚や友だちの家でまた違う社会に出会って、

比べてみたり羨ましがったりするのかもね。初めて比較するものが出来るから。

大人になったら社会人として他人という比べる対象が増えて、色々な感情が生まれてくるし。

U: 初めての社会経験から生まれる嫉妬や羨望ですね。

T: うちはうちみたいに子供の時は出来るんですけど、社会に出ると、個人同士の競争もありますからね。

そこでどう戦うか共存するか、みたいなところから色々な感情が生まれてくるんですかね。

栗: そうね、そこに軋轢やら妬みやらが出てくるだろうしね。これから先、どんな社会になろうとも今まで以上ににエネルギーとして持っていく感情なのかも。必要かどうかは人それぞれだけどね。